ネットワークビジネスやってた僕の2年間の記録【前編】

ネットワークビジネスやってた僕の2年間の記録【中編】
ネットワークビジネスやってた僕の2年間の記録【後編】

“ネズミ講”って説明してくれたら辞めといたのに

僕は長く勤めた会社を辞めて派遣会社に登録し、工場で働いたりしながら生計を立てていた。

そんな時、登録していた出会い系サイトに一通のメッセージが届いた。

「新しいビジネスモデルに展開していくに当たって仲間を探しています!良かったらまずお茶でもしながら話しませんか?」

ちなみに送って来たのは女の人では無く50代の男性。

普通なら笑って無視するような内容ではあるが、当時の僕は毎日が退屈すぎてどこか変わった展開を求めていた。

メッセージの内容はともかく、面白半分で会って見る事にした。

だが、その判断がその後の僕の生活を一変させてしまう事になる。

当日、待ち合わせ場所に現れたのはオシャレな格好をした男性。その時の第一印象は、それなりにお金は持っているようなイメージだった。

喫茶店に入り、何気ない雑談を交えながら僕の身の上話をやたら聞いてきた。

職業・収入・学歴・将来の夢など、根掘り葉掘り聞いてきたが、隠したりごまかす理由も無いので僕はありのままを話した。

ある程度話し終えると、段々と内容が説教ともとれるような発言に変わってきたのだった。

簡単にまとめると、君はこのままでいいのか、大金を稼ぐには今のままだとうんたらかんたら的な内容。

普通なら初対面の人間にそんな事いきなり言われても腹が立つだけだと思うが、

その時の僕は、「ムカつくんだけど図星で言い返せない」そんな気持ちになっていた。

なんとかなるって気持ちで生きて来たけど、将来に不安が無いかと聞かれれば、全然不安だらけ。

そんな心の隙にうまく入り込まれてしまったようだった。

そこからは完全に相手のペースになり、”金持ち父さん貧乏父さん”を軸にした話しを聞かされ、最終的に畳み込むようにこう言ってきた。

「今度、最新のビジネスモデルを話しあう会議があるからぜひそこにおいでよ。人生を変えたいと思うならまず聞いてみる事からだと思うよ?一生の内にチャンスは何度も来ない。これがもし最後のチャンスだとして、逃したら今の生活のままだよ。」

そう言われた時、しっかりと怪しさは感じていた自分。しかし、なぜか信じてみたい気持ちもあった。

聞くだけならタダだし、胡散臭かったら連絡を切ればいい。

何事にも注意深く生きてきて、分からない事や悩んだ時は当たり前の様に誰かに相談したり、ネットで調べる性格の自分がなぜかその時に限って、

「行ってみます!」と、即答した。

マニュアルにあるような、まさにネットワークビジネスに誘うための王道パターンに乗せられていた訳だ。

今思えば、セミナーの日までじっくり考えたりネットで調べれば簡単にネットワークビジネスの勧誘だと分かったはず。

なのに何も警戒せず、セミナーの日をただ楽しみに待ってしまっていたあの頃の自分に不甲斐なさを感じた。

そしてセミナー当日、会場に着いてからすぐに田中さんに連れ回され、色んな人を紹介された。

特に何を話したかは覚えていないが、「すごい事」というワードだけは異常に飛び交っていたのは覚えている。

そうこうしているとセミナーが始まり、若くしてタイトルを所持していて、洒落たスーツに身を包んだ男性が紹介され、皆の前に出て話し始めた。

今思えば、僕はある意味運が悪かったのかもしれない。

なぜかというと、メチャクチャ話し方が上手い。思わずこちらが納得してしまうような喋り方で、疑いを持ちつつも次第に可能性を感じさせるような説明だった。

冷静に考えば、”現状のネットワークビジネスはこんなシステムだけどそれがこれからはこう変わっていきます。でも変わった後も根本的な部分は何も変わりません”

っていうだけの話しなのに、なぜか完全に期待を膨らませてしまっていた。

そんな調子でセミナーも終わり、僕はその後、田中さんに勧められてすぐに会員登録をしてしまっただけでなく、

「まずは製品を使って体感してみる事。自分が製品を好きにならないと誰にも伝えれないよ。これは投資だから。」

と言われ、五千円近くする謎のドリンクや、三千円もする洗剤を買ってしまった。

そもそも投資でもないし、ただの消費じゃねぇかっていう鼻で笑ってしまうような言葉に迷いなく乗っかってしまった自分がマヌケでしかない。

ただのマルチ商法のセミナーだったのに大きな勘違い

会員となった日から僕の毎日はやる気に満ち溢れてしまっていた。

マルチ商法の話しを聞いただけなのに、なぜか自分はすごい情報を知っている感覚に陥り、数年後にはお金持ちになる事が確定したかのような気分でいた。

当然、妄想と勘違いだけでは生活は出来ないので、相変わらず派遣現場で食いつなぐ日々。

夢と現実の間をフラフラしながら生きる自分を奮い立たせていたのは、毎日のように届く田中さんからのLINE。

・”スゴイ人”が開催するセミナーの日程

・スマホ画面いっぱいに広がる自己啓発系の言葉

・興味を持って話しを聞いて会員になった感性の素晴らしさ

ほぼこの3パターンが毎日送られて来た。しかし、奮い立つと同時にウザいとかしつこいとかは少し感じていた。

本当ならそこで身を引くべきだったが、その時の僕は早く今の生活を脱却したい、辞めたら結局何も変わらないという気持ちの方が強かった。

会員登録から数週間経ったときぐらいから、友達に勧誘を始めたり、商品を進めたり、

連絡する人がいなくなれば出会い系アプリなどを使って手当たり次第にメッセージを送った。

ネットワークビジネスやマルチ商法などのワードを出さなければ意外とアポはいくつか取れました。

喫茶店やファミレスなどでビジネスモデルの簡単な概要だけ話し、興味付けした後はセミナーに誘う。

そんな事を繰り返して一ヶ月程経ったとき、ついに僕にも初めてのダウンができた。その人は長い付き合いのある友人。

別の言い方をすれば、ビジネスパートナー?仲間?あの業界風に言うとそうなるだろう。

そして僕は勧誘活動に囚われすぎた結果、ついに借金をしてしまうと同時に泥沼生活が始まった。

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