まともな人はいないネットワークビジネスの世界
そもそも田中さんの勧誘方法はいかにもマルチだと思われるやり方そのものだった。
・〇〇のシャンプーや洗剤は安全
・経皮毒やら市販のシャンプーは絶対に使ってはいけない
・〇〇のシャンプーや洗剤類は飲んでも目に入れても大丈夫
などの、マニュアルのようなトークを相手の反応関係無しに熱弁するスタイル。
田中さんが同席すると、必ずと言っていいほど勧誘は失敗していた。
後から気付いた事だが、田中さんはいつも違う人ばかりセミナーに連れて来ていて、定着してる人を見た事が無い。
色々とボロが出続ける田中さんを見て、この人がアップに居る時点で何をやっても上手く行かない。
自分はそう確信した。
それからだったと思う、自分自身がそれまで行ってきた事を全て冷静に思い返すようになった。
田中さんの大好きな若い男の子を集める活動だったのか?
ただの大学のサークル活動みたいな事をしていただけなのか?
そんな事を考えると情けなくて笑えてきたりもした。
でも実は田中さんのことは抜きにして考えても、その前からそもそも自分のやっている事はただのビジネスごっこなんじゃないかと薄々感じていた。
自分でやろうと決意して会員になった割には言い訳ばかりで何も動こうとしない。
パーティーやセミナーで集まればただの飲み会みたいになり、
次の日には、あの人とあの人昨日エッチしたよ。なんて聞かされた事もあった。
とてもじゃないが、お金を稼ぐことに繋がっていくとは到底思えなかった。
挙句の果てに、自分の欲を満たそうとする田中さんに邪魔をされるという何ともくだらないというか、
何をやっているのか分からないような状況に僕はもう完全にやる気を失っていた。
そんな気も知らずに、相変わらず田中さんから毎日送られてくるLINEにも完全に嫌悪感しか抱かなくなった。
気付けば、ずっと当たり前のように連絡をとっていた友達とはほぼ音信不通になり、
前の職場では変な仕事をやってると噂になっていた。
そして毎月の借金の返済も遅れる事が頻繁になったりと、色々と酷な現実が重なった時に初めて自分の置かれた状況を理解できた。
2年間でネットワークビジネスをやる上でかかった総額は、150万ほどにもなっていた。
会員登録しただけのグループのメンバーとも連絡は途絶えていき、最後には最初に加わった友人以外は全ていなくなった。
今考えみれば、むしろ去っていってくれて良かったのかもしれない。
ネットでマルチ商法に関わって嫌な体験をした人達の記事も目にしていた事もあったが、
収入は無くてもグループの人数が増えていく事で、自分はこの人たちと違って上手くいってるんだと、自分に言い聞かせていた。
ただ単に勘違いしていただけでもあるし、現実から必死に目を背けていただけだったのかもしれない。
結局は今の自分が全て。僕はようやく目を覚ませた。
ネットワークビジネスと田中さんとのお別れ
田中さんがとてつもなくしょうもない人間に見えてきた僕は、LINEは即ブロック。
関わったらそもそもダメな人だった事は間違いない。
そして、製品やカタログ、ネットワークビジネスに関するものは全て捨てた。
だからといって何がどうなる訳でもないし、2年間で失った友達やお金は戻っては来ない。
あれから喫茶店やファミレスに行った際、横の席でマルチの勧誘をしている人を見た時は何とも言えない気持ちになるし、白い目で見てしまう。
自分もそんな風に見られていたと思うと何とも言えないぐらい恥ずかしい気持ちになる。
よくあるネットワークビジネスからのフェードアウトのパターンから少し違う終わり方だが、
この記事が少しでも被害者を減らすきっかけになれば良いなと思って終わりたいと思います。
ものすごく長い記事になりましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。
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